脳中心部切除術(corpus callosotomy)

 


脳中心部切除術(corpus callosotomy)は、てんかん発作を軽減するために行われる手術の一つです。この手術では、脳の中心にある神経繊維束である大脳間溝(corpus callosum)の一部または全部を切除することにより、脳半球間の電気信号の流れを減らし、てんかんの発作を抑制することができます。


脳中心部切除術は、一般的に、てんかんの症状が重く、薬物治療に反応しない場合に考慮されます。また、てんかんの発作が半身性(一方の腕や足などに限定される)または局所的な場合にも、手術が行われることがあります。


手術は、全身麻酔下で行われます。一般的に、頭皮を切開し、髄液を除去して、脳を露出させます。その後、脳中心部の位置を特定し、大脳間溝を切開します。この際、医師は、神経血管束などの重要な構造物を回避しながら、目的の部位を切除します。


手術後、患者は数日間入院し、回復を見ます。この期間中、医師や看護師は、患者の症状を監視し、薬物療法を調整することがあります。退院後、患者は通常、定期的に医師の診察を受け、薬物療法を継続しながら、生活を再開します。


脳中心部切除術のリスクには、手術中の出血、脳損傷、感染症、発熱、嚥下障害、言語障害、運動障害、認知機能障害、視覚障害などがあります。これらのリスクは、手術を行う部位や手術後の回復状態によって異なります。


手術後、脳中心部切除術によっててんかんの症状が改善することが期待されます。一方で、手術が完全に効果的であるわけではなく、発作を完全に制御できない場合があります。


また、手術中には痙攣を誘発することがあります。痙攣が誘発される理由は、手術中に一時的に大量の神経細胞が活性化することで、その後に神経細胞の興奮性が高まって痙攣が引き起こされることがあるためです。手術中の痙攣は、患者が全身麻酔下にあるため、痙攣そのものによる被害はありませんが、手術後にも痙攣を誘発することがあります。


手術後の経過観察期間中、患者は定期的に医師の診察を受け、脳波検査を受ける必要があります。手術後には、脳の回復に時間がかかる場合があります。また、手術がうまくいった場合でも、てんかんの発作が完全に消失するわけではありません。しかし、手術によって、発作の頻度や重症度を軽減することができる場合があります。


脳中心部切除術は、てんかん治療の中でも重度の症例に対して行われる手術であり、手術に伴う合併症のリスクも高くなります。また、手術を受けた患者は、手術後も定期的なフォローアップが必要となります。しかし、症状を軽減する効果が期待できるため、患者や家族が手術を希望する場合もあります。最終的な治療方針は、患者の症状や病歴、家族の意見などを総合的に考慮した上で、専門医が判断する必要があります。



手術後、症状の改善が見られるまで数か月から数年かかる場合があります。症状の改善には個人差がありますが、多くの場合、発作の頻度や重症度が軽減されることが報告されています。


脳中心部切除術にはいくつかの種類があります。一つは、前半部分の脳中心部を切除する方法で、もう一つは後半部分の脳中心部を切除する方法です。前半部分の脳中心部を切除する方法は、一般的に全般性てんかんに効果的であることが報告されています。後半部分の脳中心部を切除する方法は、片側の脳半球に発作が限局している場合に有効であることが報告されています。


脳中心部切除術は、重度のてんかんに苦しむ患者に対して行われる手術であるため、手術には一定のリスクが伴います。手術によって神経機能が障害されることがあり、言語能力や運動機能の低下などが報告されています。また、手術によって脳の機能が部分的に喪失することによって、新たな症状が現れることもあります。


脳中心部切除術は、てんかん治療の最終手段の一つであり、手術に伴うリスクを十分に理解した上で、患者や家族が判断する必要があります。最終的な治療方針は、専門医が患者や家族と協力して決定することが望ましいです。また、手術後も定期的なフォローアップが必要となります。