てんかん治療における食事療法の一つに「マジョリカディエット」というものがあります。この食事療法は、てんかん発作を起こしやすい患者さんに対して、特定の栄養バランスをとった食事を提供するものです。ここでは、マジョリカディエットについて詳しく解説します。
マジョリカディエットとは?
マジョリカディエットは、1970年代にアメリカの医師であるDr.ジョン・マジョリカによって考案された食事療法です。マジョリカディエットは、炭水化物を制限し、脂質を摂取することで、ケトン体を生成させることを目的としています。ケトン体は脳細胞のエネルギー源として利用され、脳の活動を安定させるとされています。
マジョリカディエットの栄養バランス
マジョリカディエットの栄養バランスは、以下のようになります。
- 炭水化物:1日あたり10〜15gまで
- 脂質:1日あたり80〜90%程度
- タンパク質:1日あたり1g/kg程度
この栄養バランスは、一般的な食生活とは大きく異なります。炭水化物を極端に制限するため、野菜や果物、炭水化物を含む穀物類を摂取することはできません。代わりに、脂肪を多く含む食品を摂取する必要があります。
マジョリカディエットの食品例
マジョリカディエットで摂取できる食品例は、以下のようになります。
- 肉類:牛肉、豚肉、鶏肉、ハム、ソーセージなど
- 魚介類:鮭、マグロ、カニ、エビ、貝類など
- 卵
- チーズ、バター、オリーブオイル、ココナッツオイル、マヨネーズなどの脂肪
- 野菜:葉物野菜、キノコ、アボカドなど、炭水化物の含有量が少ないもの
一方、マジョリカディエットでは、以下のような食品は制限されます。
- 甘い果物、果汁、果糖、ブドウ糖、はちみつ、シロップ
- パン、パスタ、米、ジャガイモ、トウモロコシ、豆類、穀物類
- 砂糖を多く含む加工食品、菓子、スナック類
マジョリカディエットの効果
マジョリカディエットは、てんかん治療に効果的な食事療法の一つとして知られています。実際に、マジョリカディエットを実施した患者の中には、てんかん発作が軽減されたり、治療薬の量を減らすことができたと報告されています。
また、最近の研究では、マジョリカディエットが脳卒中やアルツハイマー病、がん、糖尿病などの疾患の予防・治療にも効果があるとされています。
マジョリカディエットの注意点
マジョリカディエットは、適切な指導がないと栄養バランスが崩れる恐れがあるため、自己判断で行うことは避けるべきです。また、マジョリカディエットは、健康な人に対しては行われるべきではありません。特に、子供や妊娠中・授乳中の女性、高齢者、腎臓疾患や肝臓疾患のある人、食物アレルギーのある人には適さない場合があります。